実家は売却してから相続?
将来の相続発生が予測される実家。親が健在のうちに売却して住み替えるのがいいのか、相続が発生してから売却するのがいいのか。それぞれどんな税制上の特典が使えるのかをご紹介いたします。
売却後に相続するのは節税効果が低い
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実家を売って売却益が出ると所得税がかかる
実家に住んでいる親が自分でその家を売却する場合、売却によって生じた譲渡所得(売却益)への課税が発生します。譲渡所得は他の給与所得などと分離して税率がかけられ、所得税と住民税が課せられます。 親がその家を手に入れたときの価格よりも高く売れた場合は、家を所有していた期間によって譲渡所得への税率が変わります。譲渡所得への税率は最低でも14.21%かかりますが、自宅の場合は譲渡所得から3000万円を控除できる3000万円特別控除という特例を利用できます。その家に住んでいなかったとしても、住まなくなってから3年目の年末までに売却すれば控除の対象になります。 このほか、自宅の所有期間が10年超の場合、売却した価格より高い住宅に買い替えると譲渡所得への課税が繰り延べられ、次に買い替える時まで課税されない買換え特例という制度もあります。
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売却したお金を現金で持っていると相続税が膨らむ
実家が値下がりし、購入時よりも低い価格で売却した場合、譲渡所得がマイナス、つまり譲渡損失(売却損)が発生したことになります。この場合は売却した年の他の所得と相殺(損益通算)し、所得税や住民税を減らすことができます。この譲渡損失については、売却した自宅の所有期間が5年を超えるなど一定の条件を満たすと、売約した翌年から最長3年間の所得と譲渡損失を繰り越して控除できる特例もあります。譲渡損失が大きければ、最大で4年分の所得税や住民税がゼロになる場合もあります。 親が実家を売却し、手元に資金が残った場合、現金は相続財産としての評価が不利になるので注意する必要があります。なぜなら同じ時価でも不動産は相続税評価額が圧縮されますが、現金にはそうした効果がないからです。
CHECK!
相続後に売却する場合、特別控除や特例が使える場合も
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POINT01
空き家になった実家にも3000万円特別控除が使える場合がある
実家を相続してから売却する場合、死亡した親(被相続人)と相続した子(相続人)が同居していたかどうかがまず分かれ目となります。子が同居しておらず、親に配偶者も同居親族もいなかった場合、つまり一人暮らしだった場合は、「空き家の3000万円特別控除」の対象になる可能性があります。 通常の3000万円特別控除は自宅の売却が対象なので、実家の売却の場合、子が居住していることが前提ですが、空き家の3000万円特別控除は空き家対策として2016年度に導入された制度で、同居していないことが条件となります。ただし建物が1981年より前の旧耐震基準で建てられていることや、その建物を解体して更地で売ることなどの条件があります。 一方、子が実家に同居していた場合は、相続後に子が居住を続ければ子の自宅になるので、通常の3000万円特別控除や譲渡損失の繰越控除の対象になります。それぞれ住まなくなってからの期間や保有期間などの要件を満たすことが前提です。
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POINT02
小規模宅地等の特例が相続税に大きく影響する
相続が発生して相続税を算定するときには、実家の土地の評価に小規模宅地等の特例が使えるかどうかが税額に大きく影響します。小規模宅地等の特例とは、親の自宅だった土地について330㎡を限度に相続税の評価額が80%減額されるというものです。特例が適用されると相続税が大きく減額されるケースが多いですが、相続直前に子が親と同居していたことが前提の一つとなります。 ただし同居していなかった子でも、親に配偶者やほかの同居親族がおらず、かつ過去3年間に自分や自分の配偶者が所有する家に住んだことがない子が相続する場合は扱いが変わり一定の要件を満たせば特例が適用されます。
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POINT03
取得費加算の特例との兼ね合いにも注意が必要
このように大きなメリットのある小規模宅地等の特例ですが、取得費加算の特例との兼ね合いには注意が必要です。取得費加算の特例とは、相続した実家を売却する際に、その実家の相続にかかった相続税を取得費として譲渡所得から控除できるというものです。つまり小規模宅地等の特例で相続税が減額されると、その実家を売却するときに譲渡所得税が増えてしまう場合があります。どちらの特例を選ぶのが得かは、試算してみる必要があります。
空き家の3000万円特別控除を利用する場合は相続開始から3年以内に、取得費加算の特例を利用する場合は同じく3年10カ月以内に実家を売却することが要件です。遺産分割協議などでもめているうちに期限を過ぎてしまわないように、手続きを進める必要があります。売却してから相続するにしても、相続してから売却するにしても、適用される控除や特例を理解し、要件や期限などを見逃さないようにすることが大切です。
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